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1型糖尿病の原因・症状・検査・治療について

公開日: : 自己免疫疾患

1型糖尿病の原因

インスリンを生成する膵臓を形作る細胞が、破壊もしくは消失することで起こる疾患を1型糖尿病と言います。
インスリンを生み出す細胞が急激に壊れることから、高血糖が起こります。
命に関わるような重篤な状態に陥ることもあり、回復したとしてもインスリンが生成されないため、血糖コントロールは不可能な状態がつづきます。
血糖コントロールができないため、合併症などの発症リスクも増大します。
日常生活への影響も大きく、重篤な疾患のひとつと言えます。
発生のメカニズムはまだまだ不明な点が多いですが、免疫系の異常が起こって抗体が自分の細胞を攻撃する自己免疫が原因だと考えられています。
1型糖尿病を発症しやすい遺伝素因は明らかになっていますが、日本人は1型糖尿病を発症する人はごくわずかされています。
そのため、1型糖尿病を発症したからといって、その子供までが同じ疾患が生じるということは確率としてはごく少ないと言えるでしょう。
環境因子も無関係ではないと言われていますが、詳細はまだ明らかになっていません。
ウイルス感染とも関わっているという説もありますが、それも詳細は判明していないというのが現状です。
ウイルス感染によって膵臓炎が起こる、もしくはウイルス感染に対する免疫反応起こる、あるいはそのふたつによって、インスリンを生成する細胞が短期間で破壊されるといったことが考えられますが、そのメカニズムはまだ明らかにされていないのです。
なお、ウイルス感染がきっかけで1型糖尿病を発症したとしても、人を介して1型糖尿病が感染することはありません。

1型糖尿病の症状

1型糖尿病を発症すると、体重減少や多尿、多飲、口の渇きなどの症状が短期間で急激に起こります。
その多くは1週間以内に発生し、放っておくと悪化していきます。
2型糖尿病の場合は、少しずつ血糖が上昇して、一定の値となってはじめて糖尿病の症状があらわれるようになります。
1型糖尿病では非常に短期間で症状があらわれ、それが1型糖尿病とのちがいのひとつと言えます。
特に小児や若年者は急激に症状があらわれることが多いとされています。
上腹部通痛や嘔吐、悪心といった消化器系の症状、咽頭痛や発熱といった上気道炎などの症状が見られる場合もあります。
悪化すると糖尿病性ケトアシドーシスが引き起こされることもあります。
糖尿病性ケトアシドーシスは糖尿病の急性代謝合併症として知られ、1型糖尿病で起こることが多いですが、2型糖尿病で起こることもあります。
短期間で腹痛や嘔吐、悪心などが起こり、脳浮腫や昏睡状態となるケースも少なくありません。
最悪の場合、死亡にいたることもあるほど、重篤な症状と言えます。
脳浮腫は糖尿病性ケトアシドーシスのなかでも起こりにくい合併症ですが、小児や若年者に起こりやすい傾向にあります。
意識レベルの変動や頭痛などが前兆としてあらわれることもありますが、いきなり呼吸が停止するケースもあります。
発症のメカニズムは十分に解明されているとは言えませんが、脳虚血や血清浸透圧の急低下などとの関係が指摘されています。
5歳未満の小児が糖尿病性ケトアシドーシスが糖尿病の初期症状である場合に、顕著に見られる症状と言われています。

1型糖尿病の検査

1型糖尿病の診断では、通常は血液検査をして血糖値などを測定します。
血糖値は、血液中にブドウ糖がどれくらい含まれるのかを示した数値です。
ブドウ糖はエネルギー源としてつかわれるため、血液中のブドウ糖は常に一定の濃度で保持されています。
そのコントロールをしているインスリンが足りない、あるいはインスリンの働きが弱まると血液中には多くの糖が蓄積されるようになります。
血糖値の測定は1型糖尿病を発症しているかどうかの、重要な手がかりのひとつとなります。
血液検査では採取した血液を酵素法による自動分析器にかけて、測定します。
病院では静脈血液を採取しますが、これは動脈や毛細血管と比べて高い数値になる傾向にあります。
簡易血糖測定器などをつかって自分で測定した場合は、病院での数値よりも高くなるということは知っておく必要があります。
一般的に早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上、もしくは食後血糖値が200mg/dl以上の数値が出た場合は、糖尿病の可能性が高まります。
糖尿病の可能性が高まったら、ブドウ糖負荷試験や血中インスリン活性検査などが行われます。
それらの検査を行うと、糖尿病の型が明らかになります。
合併症が見られるかどうかを確かめるために、神経検査や尿たんぱくの検査、眼底検査などが行われる場合もあります。
また、体重減少や多尿、多飲、口のかわきといった高血糖時にあらわれる症状があること、3ヶ月以内にケトーシスもしくはケトアシドーシスに陥ったことがある、インスリンを生み出す細胞への自己抗体が陽性であるといった場合は、急性発症1型糖尿病と診断されます。

1型糖尿病の治療

同じ糖尿病でも、1型と2型では発病する要因はまったくちがいます。
2型糖尿病は運動不足や過食といった生活習慣病の影響を受けて発症にいたりますが、1型糖尿病は生活習慣はまったく関係しません。
インスリンを生み出す細胞が破壊されることで、インスリンが不足して1型糖尿病は発症します。
2つの糖尿病は原因がまったく異なるため、当然ながら治療方法も異なります。
2型糖尿病は生活習慣改善を目的とした運動療法や食事療法が主体となりますが、1型糖尿病はインスリンを適切に投与することが第一となります。
急性期にケトアシドーシスが生じた場合は、インスリン補充とともに、輸血が行われるのが一般的です。
症状が全身におよび、呼吸や循環器の管理が必要になる場合もあるので、そのための対処も行います。
症状がある程度回復に向かったら、インスリン強化療法に切り替えられます。
膵移植、膵島移植といった方法もありますが、現時点ではドナーが不足しているため、容易ではありません。
将来的に、原因ウイルスが特定できれば、ワクチンによる予防といった方法も取り入れられる可能性があります。
日本国内では1型糖尿病を発症している人はごくわずかで、豊富な診療経験をもつ医師は決してたくさんいるわけではありません。
そのため、1型糖尿病であっても、2型糖尿病の治療が流用されるケースも少なからずあります。
しかし、1型糖尿病患者への運動療法や食事療法はそれほど厳格なものでなくても問題ないと言われています。
生活習慣病や肥満にならない程度で、できる範囲で行うといいでしょう。
過剰な生活指導は患者のストレスを増幅させる原因にもなるので、無理しないことが大切です。
1型糖尿病の治療で大切なのは、ライフスタイルに合わせて無理なくインスリンを投与することです。
1型糖尿病になると、自力でのインスリン分泌がむずかしくなり、インスリン注射によって足りない分を補うことになります。
通常のインスリン分泌は、基礎分泌と追加分泌の2種類に分けられます。
基礎分泌は食べ物の摂取とは無関係に少しずつ分泌されるもので、肝臓から出るブドウ糖による血糖上昇を防いでいます。
追加分泌は食べ物の摂取によって行われるもので、食後の血糖上昇を抑制します。
1型糖尿病のインスリン療法では、自然に近い形で基礎分泌と追加分泌を補充することが重要となります。
基礎分泌を補充するには、効果が長い特効型もしくは中間型のインスリンを1日1回~2回投与する必要があります。
追加分泌を補うには、即効型もしくは超速効型のインスリンを食前に投与します。
つまり、1日3食食事をする人は、1日に4~5回インスリンの投与が必要となるということです。
このようにある程度決まった時間帯に決められた量のインスリンを投与する方法もありますが、生活パターンに合わせてインスリンの補充をコントロールするという方法もあります。
後者は生活への制限が少なく、比較的自由度の高い生活を実現することができます。
方法はいくつかありますが、超速効型のインスリンの投与方法を工夫するというのも有効です。
たとえば、食欲がないときは注射するタイミングを食後に変更して、食事量に応じて打ちます。
間食時や高カロリーになりがちな外食時には少し量を増やして打つ、血糖値がたかくなりそうな場合は1~2単位追加でうつなど臨機応変に投与方法をかえてみるといいでしょう。
飲み会など食事時間が長くなりそうな場合は、即効型インスリンに変更したり、超速効型インスリンを複数回に分けて打ったりしてみます。
運動をする前などは事前にインスリンを1~2単位減らしてから投与すると低血糖を予防することができます。
こういった方法はメリットが多いですが、コントロールするためには自分で血糖値を測定するなどして、どういったときに血糖値が変化するのか知っておかなければできません。
血糖値の変化についてしっかり把握しておくことで、生活のなかで活用しやすくなって、より無理のないインスリン療法を実践することができるようになります。
持続皮下インスリン注入療法を取り入れている1型糖尿病患者も少なくありません。
これは皮下に針をとどめておいて、インスリンポンプという機械で持続的にインスリンを投与するという方法です。
ボタン操作で食事中に簡単にインスリンを投与できるので、非常に便利です。
この機械はいろいろな設定が可能で、時間帯によってインスリン量を調節することができます。
たとえば、運動量が多くなりそうな日中は少なめにして、血糖が上昇しやすい明け方は多めにしておくといったこまかい調整が可能なのです。
また、追加インスリンの投与の場合も、注射針を用いなくていいので、高血糖時や間食時などに簡単にできます。
こういったライフサイクルに合わせたインスリン療法は、海外では広く普及しています。
日本ではまだ十分に普及しているとは言えませんが、将来的にはより広まっていく可能性はあるといえるでしょう。

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