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自己免疫性肝炎の原因・症状・治療・予防とは

公開日: : 最終更新日:2017/05/25 自己免疫疾患

自己免疫性肝炎(じこめんえきせいかんえん)とは、多くの場合は慢性的な経過をたどる肝炎で、指定難病の一つです。

英語ではAutoimmune hepatitisといい、略してAIHという病名が使用されていることもあります。

自己免疫性感染はこの病名にあるように、自分の免疫細胞が肝細胞を攻撃することで障害されるという見方がされているものの、肝細胞障害が起こる詳しいメカニズムは解明されていません。

性別では男性と比較して女性の罹患率が圧倒的に高く、女性のほうが男性より6~7倍も高い割合を占めています。

とくに中年以降の女性の罹患率が高く、40~60歳代の人でなっている人が多い病気です。
なお、近年は男性の罹患率が上昇傾向にあります。

また、小児や高齢で自己免疫性肝炎になる人も、少数ではあるもののいます。
患者数は過去に行なわれた調査では、推定で9,500人ほどが自己免疫性肝炎になっているという結果が出ました。

そのほか、自己免疫性肝炎は慢性肝炎(まんせいかんえん)にかかっている人のうち、約2%の人に起こっており、女性に絞ると約4%を占めているとされています。

また、肝硬変(かんこうへん)では自己免疫性肝炎が約2%を占めており、女性に絞ると約4%を占めているとされています。

なお、国内での慢性肝炎の主な原因としては、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染して起こるB型肝炎(びーがたかんえん)や、C型肝炎ウイルスに感染して起こるC型肝炎(しーがたかんえん)、近年ではお酒を飲む人に起こるアルコール性肝障害(あるこーるせいかんしょうがい)や、お酒を飲まない人に起こる非アルコール性脂肪肝炎(ひあるこーるせいしぼうかんえん)などがあります。

自己免疫性肝炎の原因

自己免疫性肝炎の原因は解明されている?

現状において、自己免疫性肝炎がなぜ起こるのか、詳細なことははっきりしていません。

ただ、血液検査では自己抗体である抗核抗体や抗平滑筋抗体が陽性を示し、免疫グロブリンが高値を示し、ステロイド薬が非常によく効く、自己免疫疾患である慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)、関節リウマチ(かんせつりうまち)、シェーグレン症候群(しぇーぐれんしょうこうぐん)まで起こしていることなどを理由に、自己免疫が関わっているのではないかという見方がされています。

また、肝臓の組織検査では大量のリンパ球が炎症が生じている部位に集まり、肝細胞障害が起こっている像が確認されます。

ウイルスへの感染、薬剤の使用、妊娠・分娩後に自己免疫性肝炎を起こる人もいて、こうした要素が自己免疫性肝炎を起こす引き金になるリスクが報告されています。

自己免疫とは

免疫系は、外部から体内へと入り込んできた異物から体を守る役割を担っており、生まれつき体内にあるものに対しては作用しないのが普通です。

ところが、生まれつき体内にあるものを異物とみなして免疫系が作用してしまうことがあり、このことを自己免疫といいます。

自己免疫性肝炎は遺伝性の病気?

国内で自己免疫性肝炎の10人中6人程度の人が、白血球の型の一つであるHLA (human leukocyte antigen)-DR4を保有しています。
そのため、何かしらの遺伝要因が関わっているのではないかという見方がされていますが、原因遺伝子の確定にはいたっていません。

HLA-DR4を保有している人が多数を占めているとはいえ、全員にあてはまることではありません。
自己免疫性肝炎は遺伝要因が関わっているとしても、それにプラス環境要因で引き起こされる病気なのではないかと考えられています。

また、親子や兄弟など家族内で自己免疫性肝炎が起こるケースはあるものの、よく起こっているというわけではなく、非常に少ないです。
以上のことから、自己免疫性肝炎は遺伝することのない病気とされています。

自己免疫性肝炎の症状

自己免疫性肝炎に自覚症状はある?

この病気では多くの場合、自覚症状がありません。

ただ、急性肝炎のように症状が出現する場合があり、体がだるくなる、皮膚や白眼部分が黄色みを帯びる、食欲がなくなる、関節が痛む、熱があがるなどの異常が認められます。
また、無症状のまま病気が進行していくことで、だいぶ悪化した段階で発見されるケースもあります。

高齢者などで長年にわたり無自覚のまま肝硬変(かんこうへん)にまで進展したようなケースでは、脚の浮腫、腹水によるお腹の張り、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)の破裂による吐血などの症状が出現することがあります。

そのほか、自己免疫性肝炎は、慢性甲状腺炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群のような、別の種類の自己免疫疾患を併発しているケースも珍しくありません。

肝臓癌(かんぞうがん)を併発するようなケースは、B型肝炎やC型肝炎のようなウイルス性肝炎と比較すると多くはないとされています。

自己免疫性肝炎の経過

ウイルス性肝炎であるB型肝炎やC型肝炎などの場合、病原体であるウイルスの排除により快復しますが、標的である肝臓に対して免疫が攻撃を仕掛ける自己免疫性肝炎では、体内に原因があって除去することが不可能であり、免疫による攻撃は命ある限り持続することになります。

よって、この病気の治療は一生涯にわたって受け続けなければいけません。
自己免疫性肝炎はたいてい、病気の進行が遅いです。

このような進行が遅い病気のことを緩除進行性といいます。
自覚症状にもとぼしく、健康診断などの血液検査でたまたま見つかることも珍しくありません。

ただ、診断されることなく適切な治療を受けないままでいると進行は早く、肝硬変に進展して肝不全(かんふぜん)を引き起こします。

なお、自覚症状がある場合には体がだるくなる、皮膚や白眼部分が黄色みを帯びる、食欲がなくなる、関節が痛む、熱があがるなどの症状が強く出ることはあります。

この場合は無症状の場合よりは異変に気づくのは早くなりやすいといえるでしょう。
適切に診断が下されて、適切な処置がほどこされた人は、大部分が肝臓の炎症が鎮まり、病気の進行も止まります。

国内でこれまでに実施された調査では、適切な処置がほどこされた人が命を落としてしまう人の確率は、自己免疫性肝炎にかかっていない健康な人と変わりがないと報告されています。

ただし、たびたび肝機能の検査で数値が異常を示す人のなかには予後良好にならない人もいて、肝不全や肝細胞癌(かんさいぼうがん)を招いてしまうケースがあります。

自己免疫性肝炎の検査・診断

血液検査

細胞内で産生される酵素で、肝臓では肝細胞内に多く存在し、肝細胞が破壊されることによって血液中に漏出するAST(GOT)、ALT(GPT)が高い数値を示します。

また、重症例では古くなった赤血球が破壊されるときに産生される色素のビリルビンの数値が高まります。
そのほか、免疫の異常が検査結果として出ます。

体内に異物があると増加し、血液中に存在するタンパク質のγ(ガンマ)グロブリンが増加し、免疫グロブリンG、ZTTの数値が高まります。

免疫グロブリンGは血液中に存在し、体のなかに入り込んできた異物と戦う役割を担っているγグロブリンの一種であり、ZTTというのは血液検査の種類のことであり、血清にタンパク変性試薬を投入してγグロブリンを濁らせて、濁りの程度でγグロブリンが含まれている量を確認する方法です。

γグロブリンの増加以外には、自己免疫疾患で陽性になる自己免疫の抗核抗体が90%以上の人で検出されるほか、別の自己抗体も検出されるケースもあります。
なお、急に病気が出現するケースでは、自己抗体が陽性を示さないことや、γグロブリンが低い数値を示すことがあります。

ほかの病気との区別

AST・ALTの数値が高まっている場合、別の原因による肝炎や肝障害を引き起こす別の病気と区別しなければいけません。

たとえば、ウイルス性肝炎の一種であるB型肝炎やC型肝炎の病原体であるB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染を確認したり、脂肪肝(しぼうかん)や別の肝胆道疾患と区別することを目的に、腹部超音波検査が行なわれています。

肝炎ウイルスの結果が陰性=感染していないと判断されて、γグロブリン、免疫グロブリン、ZTTが上昇、自己抗体の抗核抗体が検出された場合、自己免疫性疾患を起こしている疑いが濃厚です。

肝生検

自己免疫性肝炎では診断を確定するための検査マーカーがなく、肝生検を行なわなければいけなくなるケースがあります。

生検というのは病変の一部を採取し、顕微鏡でその組織を観察する検査のことです。

病気の悪性度を把握したり、別の検査では診断を下すことが困難な病気を診断することを目的に行なわれています。

肝生検は肝臓の組織を一部採取し、顕微鏡で詳しく調べることにより診断をつけるケースがあります。

ステロイド薬

肝生検を行なった結果、組織に自己免疫性肝炎で起こるような異変がないケースがあります。

この場合、自己免疫性肝炎の治療で使用されているステロイド薬を投与する方法が行なわれています。

投与の結果、はっきりとした効果が確認されると、自己免疫性肝炎を起こしていると判断されることになります。

自己免疫性肝炎の治療

ステロイド薬

自己免疫性肝炎の治療では、ステロイド薬を内服する薬物療法が行なわれています。
プレドニゾロン(プレドニン)というステロイド薬を、1日あたり30~40mg(1錠は5mg、1日6~8錠)で内服をスタートします。

その後、肝機能検査の数値を観察しつつ5mgずつ内服する量を少なくしていって、1日あたり5~10mgの内服にまで達した時点で、この量を維持量として長期間にわたり内服を続けていく形になります。

なお、病状が重い人の場合には、スタート時に内服する量は多くなります。
ステロイド薬の内服により、10人中8人以上の割合で症状が改善しますが、ステロイド薬が効果を発揮しにくい人もなかにはいます。

また、治療のスタートが遅くなるとステロイド薬の有効性は落ちてしまい、途中で服薬をやめた場合の再燃は80%の割合で起こっています。
ステロイド薬を内服する量を少なくしていくのは、服薬による副作用を最小限に食い止めるためです。

長期間にわたり大量のステロイド薬を内服していると、糖尿病(とうにょうびょう)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、胃潰瘍(いかいよう)、精神障害、感染症にかかりやすくなる、脂質異常症(ししついじょうしょう)、満月様顔貌(まんげつようがんぼう)などの副作用が起こり得ます。

また、ステロイドは体のなかで副腎皮質ホルモンとして生み出されており、外部からステロイドが入ってくることによって、体のなかで副腎皮質ホルモンが生み出されなくなってしまいます。

副腎皮質ホルモンは血圧を高めるなどの、生命維持に欠かせない仕事をしているホルモンであり、体のなかで生み出されなくなると健康に悪影響が及んでしまいます。

免疫抑制薬

アザチオプリン(イムラン)という免疫抑制薬が、ステロイド薬と組み合わせる形で取り入れられることがあります。

たとえば副作用が心配な場合、この免疫抑制薬を併用することにより、ステロイド薬を内服する量を半減させることが可能です。

また、ステロイド薬に抵抗性がある人、副作用や合併症でステロイド薬の内服が不可能な人に対して、アザチオプリンの投与が行なわれることもあります。

肝機能改善薬

ウルソデオキシコール酸(ウルソ)という肝機能改善薬を併用する方法が、ステロイド薬を内服する量を少なくするにあたって行なわれています。

また、軽症の患者に対しては、この肝機能改善薬のみを使った治療が行なわれることもあり、とりわけ高齢の人や糖尿病を患っている人で、ステロイド薬の使用が不可能な場合などで、ウルソデオキシコール酸を服薬する方法が選択されています。

病状が一度は安定していた状態から再び悪化するようなケースでは、ステロイド薬の服薬量を多くしたり、アザチオプリンを組み合わせたりする方法が行なわれています。

重症の場合の治療

発症時から皮膚や白眼部分が黄色みを帯びるなどの症状が出現している重症例では、ステロイド薬のメチルプレドニゾロン(メドロール)などを大量に投与するステロイド・パルス療法や、血液浄化療法である血漿交換や血液ろ過透析を行なう肝補助療法が選択されることもあります。

人によっては、肝臓の移植手術を受けなければいけなくなるケースもあります。

自己免疫性肝炎の日常生活における注意点

ステロイド薬の副作用

自己免疫性肝炎の治療で使用されるステロイド薬では、食欲増進、肥満、糖尿病、脂質異常症の副作用が起こり得ます。

したがって、日常生活では食べ過ぎないことや、ハイカロリーの食品をなるべく食べないようにし、体重が増量してしまうことがないようにしなければいけません。

このほか、ステロイド薬を服用していると、体の抵抗力が落ちてしまい、感染しやすい状態になります。

そのため、粉じんが多いところへは行かないようにしたり、人ごみをなるべく避けたり、外出時にはマスクの着用を徹底したりする必要があります。

歯科治療時の副作用

ステロイド薬の内服をしている人で、骨粗鬆症予防薬を使っている人は、歯科治療を受けることによる副作用に注意しなければなりません。

たとえば、歯を抜く治療を受けたとして、あごの骨に炎症が起こって壊死してしまう、顎骨壊死(がっこつえし)を招くリスクがあります。

歯科治療を受けるにあたっては、自己免疫性肝炎の治療で行っている医療機関の医師に相談するとともに、歯科医師に使用中の薬や病気のことを伝えて、十分に相談することが欠かせません。

予防接種を受けることはできる?できない?

B型肝炎ウイルス、インフルエンザ、肺炎球菌などの不活化ワクチンや、ジフテリアや破傷風などのトキソイドワクチンの接種を受けること自体はできます。

しかしながら、ステロイド薬や免疫抑制薬を服用中の人に対する予防効果は低くなってしまう場合があります。
そのため、ステロイド薬の服用中は控えておくのが賢明といえるでしょう。

また、一般におたふく風邪と呼ばれている流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)、風疹(ふうしん)、麻疹(ましん、はしか)などの生ワクチンは、ステロイド薬や免疫抑制薬を使っているあいだは基本的に接種を受けることは不可能です。

妊娠・出産は可能?不可能?

自己免疫性肝炎の治療中に妊娠・出産することはできます。
ただし、使用している治療薬が赤ちゃんの健康を左右するかもしれないため、医師の判断を仰ぎましょう。

また、お腹のなかに赤ちゃんがいると免疫が落ちるため、いったんは病状が軽くなることが少なくありません。

しかしながら、分娩後のリバウンドで免疫力が高まることによって、病状が悪くなってしまうケースがあり、専門医療期間へ行く必要があります。

食事制限はある?ない?

とくにこれを食べてはいけない、あれを食べてはいけないというものはありません。
ただ、ステロイド薬の服薬を開始すると、副作用として食欲増進が起こるため、食べ過ぎたりハイカロリー食を摂ったりするのは避ける必要があります。

栄養バランスの取れた食事を摂り、カロリーオーバーにならないように注意が必要です。

運動制限はある?ない?

息切れを起こすことなく、翌日に疲労を引きずることがないレベルの適度な運動は、肝臓の機能を損ねることもなく、健康を守るうえで効果的です。

しかし、自己免疫性肝炎が悪化している場合や、体調が優れない日など、体を動かすのは避けたほうがいいケースもあります。

自分の場合はどうすればよいのかは、医師に相談してみるとよいでしょう。

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