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経口ステロイド薬:使うケース、特徴、副作用

公開日: : ステロイド

経口ステロイド薬の飲み方

経口ステロイド薬は、朝に多い量を飲むのが普通です。理由は二つあります。
ステロイドホルモンは、1日の中でも早朝につくられます。
なぜかといいますと、人間の体が生命の維持に必要なホルモンを朝のうちにつくっておき、ストレスに対抗するためです。

このリズムに合わせて、経口ステロイド薬も朝に多く飲むのです。
二つ目の理由は、朝に経口ステロイド薬を飲むことで、副腎を刺激し、体のホルモン産生を刺激できるからです。
朝、昼、晩と同じ量を飲んでしまうと、血液中の濃度が一定に保たれてしまうため、かえって副腎の機能は抑制されてしまいます。
朝だけステロイド薬を飲む場合には、夕方から明け方にかけて、血中のステロイド薬はほとんどなくなってしまい、その結果、副腎が刺激されてホルモン産生の能力が回復しやすくなります。

ステロイド薬は、当初は大量に飲み(最大4週間)、その効果が出るとだんだん減らしていきます。
そして、これ以上減らすと病気が再燃してしまう、もしくはこれだけ飲んでいれば病気を抑えることができるという量(「維持量」と言います)を長期間服用します。
ステロイド薬の使用の特徴は、薬を急に減らせない、止められないということです。ステロイド薬を長期に服用していると、副腎が怠けて萎縮してしまいます。

このようなときにステロイド薬を勝手に減量したり中止したりすると、体はもはやステロイドホルモンを作ることができませんから、病状が悪化することになります。
それだけではなく、ステロイドホルモンの急性な欠乏症が起こります。

最初は体がだるくなる、熱が出る、といった症状ですが、ひどくなると血圧が低下し、ショックで死亡するケースもあります。
こういった症状を「離脱症状」と言いますが、プレドニゾロン換算で1000mgを超えた場合に起こりやすくなることが知られています。

プレドニンを毎日20mgで50日飲み続けた場合だと、1000mgになります。こうなると、ステロイドは急に中止するととても危険です。
したがって、ステロイドを減薬する場合には、徐々に減らしていく必要があります。

ステロイドの副作用

軽症の副作用

ステロイドの副作用は、軽症のものと重症のものに分けられます。
ステロイド薬を飲んでいると、顔が丸くなってきたり(ムーンフェイス)、顔や体は丸く太ってくるのに、手足は逆に細くなる太り方(中心性肥満)をします。

ニキビができたり、毛が濃くなる場合もあります。
また、皮膚が薄くなったり、血管が弱くなってあざができやすくなることもあります。
こういった症状は、ステロイドの減薬の理由にはなりません。

少しのあいだ辛抱することが大切です。
ステロイド薬の副作用として食欲も増進するため、食欲のままに食べているとムーンフェイスや肥満が起こってしまうので、食べ過ぎに注意しましょう。
ステロイド薬の副作用の出方は個人差がとても大きく、残念ながらどのような人に副作用が起こりやすかもわかっていません。

重症の副作用

重症の副作用は、ステロイド薬の副作用によって生命に影響を及ぼす場合です。
これらの症状が起こった場合には、ステロイド薬を減薬します。
ステロイドには免疫抑制作用があるのですが、この結果、感染症にかかりやすくなってしまいます。

ステロイドは、免疫機構で重要なはたらきをしている白血球やリンパ球の機能を低下させます。
白血球は細菌の感染を防ぐはたらきをしており、リンパ球はウイルス、真菌、結核菌などの感染防御に必要です。
本来なら、体に悪さをしない病原体でも、体の免疫が下がっているために感染症を引き起こす場合を、日和見感染と言います。

ステロイド薬の使用が多いときには入院をして治療するのが一般的です。
日常生活では、人混みを避けることや、マスクを着用すること、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンを接種しておくことで、感染症になるリスクを下げることができます。
ステロイド糖尿といって、ステロイド薬の服用で、糖尿病が誘発されたり、悪化することがあります。

これは、ステロイドが高血糖の状態を引き起こすためです。
糖尿病の持病がある人がステロイド薬を服用する場合には、インスリンを併用することもありますが、まずは食事制限と定期的な血液検査が必要です。
特に、糖尿病の防止には糖質の摂りすぎに気をつけましょう。運動療法を行うことも有効です。

ステロイド薬の連用は、消化性潰瘍を引き起こす場合があります。
ステロイドは胃酸を強くし、消化酵素の働きを活発化させるとともに、胃粘膜の保護に働いているムチンという物質を減少させます。
ステロイド薬を服用しているときに、胸焼け、胃痛、食欲不振などが出現した場合は、検便、潜血反応、血液検査でチェックします。

胃が弱い人は、胃粘膜を保護したり、胃酸の働きを弱める胃薬を併用し、消化性潰瘍の発症を予防することができます。
ステロイド薬を大量に服用していると、どうしても骨粗鬆症が起こってきます。
このため、ステロイド薬を大量に飲んでいる場合には激しい運動はできません。

日常生活でも転んだりしないように気をつける必要があります。
カルシウムの含まれている食品を積極的に取り入れ、日光に当たって軽く運動することが有効です。
ビスホスホネートという薬が、ステロイド誘発骨粗鬆症に有効であることがわかっています。

高齢の、とりわけ女性がステロイド薬を使用する場合には、定期的な骨密度測定を行うようにします。
そのほか、重症な副作用としては、高脂血症が原因で引き起こされる無菌性骨壊死、筋肉が萎縮するステロイドミオパチー、うつや不眠などの精神症状、高血圧、白内障や緑内障などがあります。

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