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原発性硬化性胆管炎の原因・症状・検査・治療について

公開日: : 自己免疫疾患

原発性硬化性胆管炎の原因

原発性硬化性胆管炎は、慢性化した炎症の影響で胆管が細くなって、胆汁がスムーズに流れなくなることで起こります。
胆汁の流れが停滞することで肝臓への負担がつづくことで、最後には肝硬変から肝不全になってしまいます。
floxuridine 動注による胆管障害や狭窄、胆管の虚血性狭窄、腐食性硬化性胆管炎、先天性胆道異常、胆管炎、AIDS の胆管障害、 胆管悪性腫瘍(PSC 診断後および早期癌は例外)、胆道の手術や外傷、総胆管結石などは2次性硬化性胆管炎となるため原発性硬化性胆管炎には含まれません。
さらに、自己免疫性膵炎によるものも含めてIgG4関連硬化性胆管炎も除外対象となります。
日本国内の患者数はおよそ1200人と言われ、国の難病対策として制定される特定疾患のひとつに指定されています。
男女比だと男性のほうが多く、20代と60代での発症者が多いと言われています。
若い年代で発症すると一定割合で潰瘍性大腸炎に合併し、胆管がんはおよそ10%で発症すると言われています。
原発性硬化性胆管炎の原因は、現時点ではわかっていません。
しかし、炎症性腸疾患との関係は指摘されており、瘍性大腸炎患者のおよそ5%、クローン病患者のおよそ1%に発症すると言われています。
この関係性、そして複数の自己抗体によって、免疫の仕組みが深く関わっていることが推定されます。
また、原発性硬化性胆管炎は複数の家族に発症することが多く、自己免疫疾患としてよく相関するHLA-B8とHLA-DR3をもつ人が発症しやすいことから、遺伝的素因との関連性も疑われます。

原発性硬化性胆管炎の症状

原発性硬化性胆管炎の初期段階は特別な症状は見られず、血液検査で肝機能異常が発覚して気づくということも珍しくありません。
症状は少しずつあらわれはじめ、疲労感やかゆみが強くなっていきます。
そして、黄疸という皮膚や白目が黄色くなる症状があらわれます。
手技という療法を行って胆管がダメージを受けると、胆管の炎症と再発性感染症が起こる場合があります。
これらは発熱や黄疸、上腹部の痛みなどの症状をともないます。
原発性硬化性胆管炎の影響で胆汁酸塩の分泌が滞ると、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、K、脂肪がきちんと吸収できなくなります。
胆汁分泌がうまくいかないと、骨粗しょう症が起こりやすくなって出血やあざが起こりやすくなります。
さらに脂肪便と言われる脂っぽく悪臭を伴う便が出るようになって、胆石や胆管結石が生成されることもあります。
肝臓や脾臓の腫大が確認されることもあります。
病状が悪化すると、肝硬変の症状が見られます。
肝硬変が悪化すると、腹腔内での体液の蓄積、血液を腸から肝臓に運搬する静脈の血圧上昇、肝不全などの重篤な症状があらわれるようになり、死亡のリスクも高まります。
初期症状がまるで見られず、病状が悪化して肝硬変が起こるまで気づかないということもあります。
長い場合は10年間自覚症状があらわれずに過ごしてしまうということも、少なからずあるのです。
また、原発性硬化性胆管炎を発症した人の10~15%に、胆管癌が起こることもわかっています。
原発性硬化性胆管炎は炎症性腸疾患は関係していると言われますが、両者はまったく異なる経過をたどることが多いとされています。
潰瘍性大腸炎は原発性硬化性胆管炎よりも早く症状があらわれることがほとんどですが、原発性硬化性胆管炎と関係するケースよりも軽度である場合が多いとされています。
これらを発症すると、原発性硬化性胆管炎時に肝移植をしているかどうかは関係なく、直腸結腸癌の危険性が増えると言われています。
また、全結腸切除術を行っても、原発性硬化性胆管炎の経過はかわらないと言われています。

原発性硬化性胆管炎の検査

肝生化学検査によって原因不明の異常が確認された人は、原発性硬化性胆管炎が疑われます。
さらに炎症性腸疾患を発症している人は、可能性が高まります。
原発性硬化性胆管炎の人が肝化学検査を行うと、胆汁うっ滞性パターンが典型的が確認されます。
そしてアルカリホスフォターゼとγグルタミルトランスフェラーゼが、アミノトランスフェラーゼ以上に高まります。
また、γグロブリンとIgMが高まることが多く、抗平滑筋抗体とp-ANCAは通常陽性を示します。
原発性胆汁性肝硬変の場合は、陽性の抗ミトコンドリア抗体が陰性を示します。
診断の精度を高めるために、いくつかの画像検査が行って肝臓外の胆管に閉塞が見られるかを調べます。
磁気共鳴胆管膵管造影法では、MRIを用いて胆管と膵管の画像撮影が行われます。
磁気共鳴胆管膵管造影法は原発性硬化性胆管炎の診断を確かなものにし、胆管閉塞以外の原因と区別するために欠かせません。
ただし、この検査では全体像はとらえられるものの、詳しいことはわからないため、ほかの検査もあわせて行われるのが一般的です。
超音波内視鏡検査ではやわらかい観察用チューブを口から入れ込んで、胃や小腸上部にまで通していきます。
チューブの先には小さな超音波プローブがついているので、それをつかって撮影します。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影は、内視鏡をつかって胆管内部にX線撮影用の造影剤を入れて、X線撮影をします。
この検査は体への負担が少なくないうえに、造影剤を入れる必要があるので、磁気共鳴胆管膵管造影法のほうが推奨されています。
ただし、内視鏡的逆行性胆管膵管造影は検査としてだけでなく、治療として用いることができる方法なので、場合によっては実施されることもあるでしょう。

原発性硬化性胆管炎の治療

原発性硬化性胆管炎を発症する人のなかには、何年にもわたって自覚症状が見られないという人がいます。
しかし、疾患は少しずつ悪化していき、診断から肝不全を起こすまではおよそ12年と言われています。
症状があらわれない人の場合、特別な治療をせずに経過観察だけ行うことが多いでしょう。
経過観察としては、1年に2回ほど身体診察や肝機能検査を行う程度で問題ないとされています。
かゆみがある場合は、ウルソデオキシコール酸やベザフィブラートなどをつかって改善していきます。
慢性胆汁うっ滞や肝硬変などの症状が見られる場合は、治療を進めていく必要があります。
再発性の細菌性胆管炎が起こった場合は、抗生物質やERCPによって改善していきます。
大きめの狭窄がひとつ見られる場合は、症状を軽減して擦過細胞診で腫瘍の発現を除外する必要があります。
そのため、内視鏡的拡張術をすることになります。
この治療では、胆管の狭窄箇所に対して、狭窄を風船でふくらませたり、胆汁が滞りなく流れるようにチューブを総集したりします。
しかし、患者数が多くないこともあり、こういった治療がどれほど効果があるのか、生命予後を延長できているかのということは判然としていません。
基礎疾患としてクリプトスポリジウム症,サイトメガロウイルスなどの感染が起こった場合も、治療をしなければいけません。
特発性の原発性硬化性胆管炎の場合、完治が見込める治療方法は肝移植に限られます。
再発性の細菌性胆管炎もしくは肝疾患末期の合併症は、肝移植の実施が望ましいでしょう。
完全な形の肝臓は死亡者からのみに限定されますが、肝臓の一部であれば生きているドナーから提供可能です。
移植した肝臓への拒絶反応が起こる可能性はありますが、心臓や腎臓などほかの臓器を移植したケースと比較するとあまり見られないと言われています。
肝移植をいつ行うべきかという問題がありますが、肝不全のために頻繁あるいは長期的な入院が必要で、余命が半年~1年と予想される時期に行われるのが一般的です。
日本国内での肝移植の場合、5年生存率は75%ほどとされています。
ただし、生体肝移植後の原発性硬化性胆管炎が再発する可能性は比較的高いと言われているため、長期にわたって経過観察をする必要があります。

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