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グッドパスチャー症候群を詳細に:原因,症状,検査,治療など

公開日: : 最終更新日:2017/10/26 自己免疫疾患

グッドパスチャー症候群(ぐっどぱすちゃーしょうこうぐん)とは、自己免疫疾患の一種であり、肺や腎臓に炎症が生じる病気です。

グッドパスチャー症候群は1919年、インフルエンザにかかったあとに、腎不全(じんふぜん)と肺出血によって命を落とした18歳男子の症例が、アメリカの病理学者であるグッドパスチャー氏によってはじめて報告され、この人の名前を取ってグッドパスチャー症候群と名付けられました。

この病気は非常に珍しく、日本国内では2013年度の推定患者数は2,400~2,700人で、女性のほうが男性に比べて引き起こされやすい病気と考えられています。

発症の原因に関する詳しいことはわかっていませんが、何かしらの原因によって肺胞壁(はいほうへき)と腎臓の糸球体基底膜(しきゅうたいきていまく)に対して抗糸球体基底膜抗体(こうしきゅうたいきていまくこうたい)が血液中につくり出され、その抗体がアレルギー反応を引き起こすことにより、肺や腎臓に炎症が生じます。

抗糸球体基底膜抗体がつくり出される要因として、喫煙やインフルエンザウイルスなどへの感染、揮発成分の吸引などが深く関わっていると考えられています。

グッドパスチャー症候群を発症すると、主に肺の症状と腎臓の症状が出現します。
肺の症状には咳(せき)、息切れ、血痰(けったん)、喀血(かっけつ)などがあり、腎臓の症状には血尿(けつにょう)、尿たんぱく、急速進行性の糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)などをあげることができます。

基本的に腎臓の症状よりも肺の症状が先に出現するほか、発熱や倦怠感(けんたいかん)、疲れなど全身症状が引き起こされる場合もあります。

グッドパスチャー症候群は肺と腎臓に炎症を引き起こす病気であることから、検査では肺機能と腎機能を調べる血液検査や尿検査、画像検査が行なわれています。

また、治療は基本的に副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)や免疫抑制剤を使用した薬物療法や、抗糸球体基底膜抗体を除去するための血漿(けっしょう)交換療法を中心に行なわれていますが、薬物療法と血漿交換療法を同時に行なうステロイドパルス療法が行なわれるケースもあります。

なお、グッドパスチャー症候群を発症すると腎機能障害の進行が早く、初期段階で治療をほどこすことができなかった場合には、腎不全(じんふぜん)を引き起こす場合があり、その場合には透析治療や腎移植が必要となります。

グッドパスチャー症候群を発症したとしても、初期の段階で適切な治療をほどこせば再発リスクは低く、肺機能や腎機能を保つことも可能です。

しかし、初期の段階や悪化したあとも適切な治療が行なわれなかった場合、80%以上の確率で命を落としてしまう危険な病気であることから、少しでも肺や腎臓に異変を感じた場合には、できるだけ早く医療機関で検査を受けることが重要です。

グッドパスチャー症候群の原因

グッドパスチャー症候群は自己免疫疾患の一種で、自己抗体によって肺や腎臓に炎症を引き起こす病気です。

グッドパスチャー症候群を発症する詳しい原因は未だ解明されていませんが、抗糸球体基底膜抗体が体内でつくり出されることによって引き起こされることが知られています。

肺の肺胞や腎臓にはそれぞれ基底膜とよばれる組織がありますが、基本的にこの2つの基底膜の構造は異なっています。

しかし、何らかの原因により体の中で糸球体基底膜の4型コラーゲンに対し、抗糸球体基底膜抗体とよばれる自己抗体がつくり出され、糸球体基底膜に沈着することによって肺胞の基底膜と腎臓の基底膜が似た構造になる場合があります。

肺胞と腎臓の基底膜が似た構造になると、血液中に抗糸球体基底膜抗体がつくり出され、アレルギー反応を引き起こすことによって肺と腎臓に炎症が引き起こされます。

抗糸球体基底膜抗体がつくり出される原因は解明されていませんが、喫煙やインフルエンザウイルスなどへの感染、灯油など揮発しやすい成分の吸引が関与しているという見方がされています。

グッドパスチャー症候群の症状

グッドパスチャー症候群を発症した場合、主に肺の症状と腎臓の症状が引き起こされます。

肺の症状

グッドパスチャー症候群を発症すると、はじめに肺の症状が出現するケースが多いです。

咳や息切れ、呼吸困難、痰に血が混じる血痰の症状が引き起こされて、症状が悪化すると肺出血を引き起こし喀血の症状が現れます。

喀血とは気管支や肺で出血した血液が口から出てくることで、大量出血する場合が多く、貧血や顔面の蒼白化を引き起こすこともあります。

腎臓の症状

グッドパスチャー症候群を発症すると、腎機能障害の初期症状として尿に血液が混じる血尿や、尿中のたんぱく質成分が増加する尿たんぱく、尿の出が悪くなる欠尿、尿がまったく出なくなる無尿などの症状が引き起こされます。

また、進行が早い糸球体腎炎を引き起こす場合もあり、症状の悪化に伴い吐き気や悪心といった尿毒症状や、高血圧、むくみなどの症状が出現します。

そのほかの症状

肺や腎臓の症状以外にも、発熱や悪寒、倦怠感、疲れ、体重減少といった全身症状が引き起こされることがあります。

グッドパスチャー症候群の検査・診断

グッドパスチャー症候群の検査は、主に腎機能障害を調べるための血液検査や尿検査、腎組織生検や、肺機能障害を調べるための画像検査や気管支肺胞洗浄、経気管支生検などを行ないます。

血液検査

グッドパスチャー症候群を発症すると腎臓に炎症を引き起こす場合があり、その場合は血液中に抗糸球体基底膜抗体が認められます。
そのため血液検査を行ない、抗糸球体基底膜抗体の有無を確認することで確定診断に役立ちます。

そのほかにも、グッドパスチャー症候群を発症していた場合、血清クレアチニン値、尿素窒素値、CRP値が高くなり、小球性低色素性貧血(しょうきゅうせいていしきそせいひんけつ)が認められる場合もあります。

尿検査

尿検査は血液検査と同様に、腎機能障害の有無を確認するために行ないます。
グッドパスチャー症候群を発症している場合、血尿の症状が現れることがありますが、血尿は必ずしも赤いわけではなく透明な場合もあり、尿検査によって確認できる場合があります。

また、尿たんぱくの有無を調べることによって、糸球体腎炎を引き起こしているかどうかを確認することが可能です。

腎組織生検

腎組織生検は細い針を直接腎に刺し、細胞を採取後に光学顕微鏡などで細胞を観察する検査方法です。

グッドパスチャー症候群を発症している場合、腎細胞に分節性または全節性の壊死(えし)性病変や、それに伴う半月体形成が確認できるほか、糸球体係蹄壁(しきゅうたいけいていへき)に沿う形で抗体沈着が確認できます。

画像検査

グッドパスチャー症候群における画像検査としては、主に胸部レントゲン検査と胸部CT検査を行ない、肺機能の状態を確認します。
グッドパスチャー症候群を発症すると肺出血の症状が現れる場合があり、画像検査によって肺の両側に陰影や白い斑点を確認することができます。

気管支肺胞洗浄・経気管支肺生検

グッドパスチャー症候群を発症すると、血痰や喀血など肺出血に伴う症状が現れる場合があります。
気管支肺胞洗浄や経気管支肺生検を行なうことにより、肺出血の有無を確認することが可能です。

グッドパスチャー症候群はこういった検査を行ない、総合的にみて診断を下す形になります。

確定診断に関しては、肺胞出血と急速進行性腎炎が確認できること、抗糸球体基底膜抗体が陽性であること、腎組織生検にて壊死性半月体形成性腎炎や糸球体係蹄壁の抗体沈着が確認できること、この3つが確認できた場合にグッドパスチャー症候群である、ということになるとされています。

グッドパスチャー症候群の治療

グッドパスチャー症候群の治療は現れる症状に合わせて行ないますが、主に血漿交換療法、薬物療法、鉄剤投与、透析治療、呼吸管理などがあります。

血漿交換療法

グッドパスチャー症候群を発症すると、血液中に抗糸球体基底膜抗体が産生され、糸球体基底膜に沈着することで炎症を引き起こします。

血漿交換療法では血液を一度体外へと取り出し、血液中の抗糸球体基底膜抗体を除去し、浄化した血球を再び体内へと戻します。

この血漿交換療法は抗糸球体基底膜抗体を除去するために、血液中の血漿成分のすべてを破棄する必要があり、抗糸球体基底膜抗体を除去後は代わりとなる血漿成分を補う必要があります。

血漿交換療法はグッドパスチャー症候群を発症した場合の早期治療において有効とされており、早期であればあるほど腎機能や肺機能を保つことができます。

また、血漿交換療法と同時に、短期間に通常の10~20倍もの大量の副腎皮質ホルモンを点滴投薬するステロイドパルス療法が行なわれることがあります。

薬物療法

グッドパスチャー症候群を発症すると、抗糸球体基底膜抗体が生産されて炎症を引き起こすため、抗糸球体基底膜抗体の産生を抑制するために、薬物療法が行なわれることがあります。

薬物療法では主に、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使用され、血漿交換療法と同時に行なうステロイドパルス療法が選択されるケースもあります。

鉄剤投与

グッドパスチャー症候群を発症すると、肺出血によって鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)を引き起こす場合があります。
その場合には、鉄分を補給するために鉄剤の投与が行なわれます。

透析治療

透析治療とは、血液中の不要物質を除去する治療方法です。

グッドパスチャー症候群を発症すると、何らかの腎機能障害を引き起こしますが、腎機能障害が進行して腎不全を引き起こした場合、血液中に不要物質が増加するため透析治療を行なう必要があります。

透析治療でも改善が見られない場合には腎移植が必要となります。

呼吸管理

グッドパスチャー症候群を発症すると肺機能障害を引き起こす場合があり、呼吸困難などの症状が現れた場合には、人工呼吸器の装着や酸素投与などの呼吸管理が必要となります。

グッドパスチャー症候群の治療は、上記の治療法以外にも食事管理や禁煙など生活習慣の改善なども重要です。

グッドパスチャー症候群を発症して腎機能障害や肺機能障害が現れると進行が早い場合が多く、とくに腎機能に障害が現れると元には戻らないため、早期治療が重要となっています。

再発率は低いですが、早期治療を怠った場合の死亡率は2年で15%、腎不全を引き起こした場合は80%と高いことから、少しでも異変を感じた場合はできるだけ早く医療機関で検査を受けましょう。

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