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花粉症の抗原となる植物の特徴・・・飛散・時期・特徴など

公開日: : 最終更新日:2015/09/20 花粉症


『オオアワガエリ』は、5月から8月の夏時期に花粉が飛散する植物で、種類としてはイネ科・アワガエリ属の多年草になります。
似たような名前で一回り小さな「アワガエリ」というものもありますが、そちらは一年草ですので若干の違いがあります。

オオアワガエリの原産はヨーロッパで、英名では「チモシー」と呼ばれているのですが、カモガヤなどと同じく明治時代の初期に牧草として日本に輸入されてきました。
それが、やがて野生化し日本全国に分布するようになるのですが、比較的寒冷地で雑草として多く見られるようになっています。
オオアワガエリに限らずイネ科の植物は、道端や空き地をはじめ、堤防や河川敷、牧草地、畑地、樹園地など、様々なところに生息していて繁殖力も強いものです。

また、花粉の飛散時期もある程度は重なってくるため、実際のところはどの植物による花粉症なのかを特定することは難しいとも言われています。
ですから、夏時期に発症する花粉症のことを総称して「イネ科花粉症」と呼ぶこともあります。
以前の北海道で夏風邪だと思われていたものの大半がカモガヤ花粉症だったというのは有名な話なのですが、このオオアワガエリ花粉症も夏時期に発症するものですので、夏風邪と勘違いされる可能性は高いようです。

花粉症というと春先というイメージが強いことも影響しているのでしょうが、症状を詳しく見ていくと、風邪と花粉症には違いがありますので、それらを見極めて適切な対処をするように注意しましょう。

カナムグラ

カナムグラ
『カナムグラ』は、日本全国の原野やあき地、土手、道端など、あらゆる場所に生育している雑草で、その種類はクワ科、カナムグラ属のツル性の1年草ということになります。

日本全国に生息しているだけあって、とても繁殖力が強く、発生するとあたり一面を覆うことが多い植物として知られています。
茎がつる状になって長く伸びていることが特徴ですが、その茎や葉柄には無数の小さなトゲがあり、このトゲで他の植物に強く巻き付いて生育しているのです。
カナムグラには、雌株と雄株があるのですが、花粉は雄株のほうから発生します。

その時期は、8~10月頃の初秋で、ブタクサやヨモギと並んで、秋の花粉症の代表的な原因植物とされています。
8月はまだまだ暑いですが、9月後半や10月頃になると肌寒くなってきますから、風邪を引きやすい時期に入ります。
そのため、カナムグラ花粉症であることに気づかず、風邪だと勘違いしてしまうことも少なくありませんから注意が必要といえるでしょう。

目のかゆみがあったり、サラサラした鼻水が出てきたりなど、花粉症特有の症状が出ているのであれば、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けるほうが安心です。
ちなみにカナムグラは、ビールの苦味付けとして用いられているホップと近縁の植物のようです。
どちらも、雌花と雄花が別の株につく「雌雄異株」の植物なのですが、カナムグラにはホップのような苦味や香りはないため、ビールには使えないようです。

カバノキ

カバノキ
『カバノキ』は、日本でも約10種類以上が分布しているカバノキ科カバノキ属の木の総称ですが、世界規模で見ると北半球の亜寒帯から温帯にかけて広く分布している落葉広葉樹のことを指します。
ちなみに日本に分布しているカバノキの中で特に有名なのが、「シラカンバ(シラカバ)」と「ダケカンバ」の2つになります。

他にも種類としては、「ウダイカンバ」や「アズサ」、「ネコジテ」、「ホソバオノオレ」、「オノオレカンバ」、「ヒメオノオレ」、「ヒダカヤエガワ」、「トウカンバ」、「ヨグソミネバリ」などのものがあります。
ヨーロッパでは、このカバノキ花粉症が多いと言われていますが、特にスウェーデンは国土のほとんどをカバノキで覆われているため、圧倒的にカバノキ花粉症が多く見られます。
日本で分布しているカバノキは、前述のとおり「シラカンバ(シラカバ)」と「ダケカンバ」です。

日本では福井県や岐阜県などの本州の中部よりも北の高原に多く見られますが、なんといっても有名なのは、やはり北海道でしょう。
ただ、ダケカンバの花粉症というのはあまり聞きませんので、日本でのカバノキ花粉症というのは、シラカンバ(シラカバ)によるものがほとんどでしょう。
白く美しい樹皮がとても印象的なシラカンバ(シラカバ)ですが、北海道では日当たりの良い公園や庭などに植えられていて、街路樹としてもよく見かけます。
また、北海道内では22の市町村で市町村の木に指定されているそうですから、大変人気の高い樹木といえるでしょう。
ですが、残念ながら花粉症の原因植物にもなってしまっていて、ハンノキ花粉症と並んで、北海道の代表的な花粉症の一つに数えられています。

花粉の飛散時期は3月から6月にかけてですが、主に1980年代の後半から、このシラカンバ(シラカバ)花粉症が増えてきているようです。
また、シラカンバ(シラカバ)花粉症の患者さんの多くが、食物アレルギー症状や口腔アレルギー症候群などの「果物過敏症」を併発しているとも言います。
アレルギー症状を起こすのは、「リンゴ」や「サクランボ」、「桃」、「梨」、それに「メロン」や「キウイ」、「スイカ」とかなり幅広く、この病気が出た場合は専門医に相談が必要となります。
これは、シラカンバ(シラカバ)の花粉とアレルギーを起こす果物のタンパク質の構造が似ているためのようです。

カモガヤ

カモガヤ
『カモガヤ』は、5月から8月の夏に花粉が飛散する植物で、種類としてはイネ科・カモガヤ属の多年草になります。
カモガヤは、今では日本全国に分布している植物なのですが、元々はユーラシア原産のもので明治初期に牧草として日本に輸入されました。

ちなみにカモガヤは日本だけではなく、世界中でもっとも普及している牧草で、英名の「オーチャードグラス」という呼び方も広く知られています。
北海道で多く生育したということもあり、シラカバやヨモギと並んで、「北海道三大花粉症」の1つに数えられることもありますが、カモガヤ花粉症自体は日本全国で見られます。
ただ、ちょうど花粉の飛散時期が梅雨時期と重なり、本州や四国、九州の各地域では湿度が高くなるため、比較的花粉が飛散しにくいと言われています。

しかし、北海道には梅雨がありませんので必然的に空気も乾燥し、カモガヤをはじめとするイネ科の植物の花粉が飛散しやすいためカモガヤ花粉症も多くなってしまうのです。
とはいえ、カモガヤ花粉症の存在が明らかになったのは比較的最近のことで、それ以前の北海道ではその時期のくしゃみや鼻水、鼻づまりなどは全て夏風邪だと思われていたそうです。

カモガヤは前述のとおりイネ科の植物なのですが、カモガヤ花粉症にかかっている人は「オオアワガエリ」や「ナガハグサ」、「ハルガヤ」、「スズメノテッポウ」といった、他のイネ科植物の花粉にも過剰反応を起こし、花粉症になる確率が高いようです。

スギ

スギ
日本の花粉症患者の中でも、およそ80%を占めていると言われているのが、このスギ花粉によるものです。
スギ花粉症の原因となる『スギ』は、東北地方から屋久島に至るまで、つまり北海道を除くほぼ日本全域に分布している植物です。

寿命は数千年と長いのですが、中でも屋久島の縄文杉は特に有名ですね。
スギはとても扱いやすい性質を持っているため、角材から板材まで比較的簡単に製材することができます。
そのため昔から、家の建材としてはもちろん、家具や船材、電柱、彫刻材など、幅広い用途の材木として用いられてきました。

ですから、元々日本人にとっては馴染みの深い植物なので、スギの花粉自体が有害というわけではないのですが、花粉の飛散量が増えてきたことや食生活などによる人間の体質の変化などが重なり、花粉症という病気が発生してきています。
一般的なスギ花粉の飛散時期ですが、2月上旬から九州や四国ではじまり、2月下旬には関東近辺、そして3月中旬には東北地方というように、日本全国で見るとおよそ1ヶ月にわたっています。

なかでも、関東地方にはスギが広範囲にわたって植林されていますから、特に関東にスギ花粉症患者が多いと言われています。
年によって花粉の飛散量は違いますし、もちろん日によっても多い少ないはあるのですが、概ね、晴れた日は花粉が多く、逆に雨の日は少ないですので、お天気が崩れた時がスギ花粉症の人にとってはホッと出来る時と言えそうです。

セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウ
『セイタカアワダチソウ(背高泡立草)』は、キク科のアキノキリンソウ属の多年草で、10~11月頃に花粉が飛散する植物です。
元々は、北アメリカが原産で、明治時代には観賞用として栽培されていたのですが、第二次大戦後に河川敷や空き地などから野生化していき、全国に広がっていったと言われています。

セイタカアワダチソウはとても生命力が強く、日当たりの良い場所ならどこでも生息することができます。
秋になると、全国各地の河川敷や空き地を黄色く染めるため、秋を代表する風物詩としても広く親しまれてきました。
ところで、このセイタカアワダチソウも花粉症の原因植物だと言われていたのですが、最近ではそれが間違いであることがわかってきたようです。

というのも、このセイタカアワダチソウはミツバチなどをはじめとする昆虫が花粉を運ぶ、いわゆる「虫媒花(ちゅうばいか)」であり、花粉も重いため、他の植物のように広く飛散するということがないのです。
そのため、花粉症の原因となることもないのですが、同じキク科にブタクサという植物があり、どうやらこれと間違われていたようです。

ですから、セイタカアワダチソウに関しては、特に花粉症の原因として心配する必要はないということですね。
ただし、受粉時期に当たる10~11月頃に茎をゆすると花粉が落ちてきますから、この時期にはなるべくセイタカアワダチソウの群落に入ったりすることは避けておくほうが無難と言えそうです。

ハンノキ

ハンノキ
『ハンノキ』といえば、日本各地に分布している植物で、成長が早いことでもよく知られていますが、主に北海道や神戸の六甲山山麓などで、このハンノキによる花粉症がよく見られます。
種類としては、カバノキ科・ハンノキ属となり、花粉の飛散時期は1月~4月頃が中心となります。

この時期は、ちょうどスギ花粉が飛散し始める時期と重なりますので、スギ花粉症と混同されることも少なくないようです。
ですが、このハンノキ花粉症はシラカンバ(シラカバ)花粉症と並んで北海道を代表する花粉症の原因植物と言われているもので、北海道でこの時期に発症する花粉症は、まずハンノキかシラカンバ(シラカバ)のどちらかと考えて間違いがないでしょう。
実際に、北海道ではスギ花粉症はほとんど見られないといいます。

ハンノキ自体は落葉樹のため、花粉の量はさほど多いわけではないのですが、花粉の構造がシラカンバ(シラカバ)と似ているため、すでにシラカンバ(シラカバ)花粉症になっている人が、さらにハンノキ花粉でアレルギー症状を起こすということもあるようです。
また、シラカンバ(シラカバ)花粉症と同様、ハンノキ花粉症も食物アレルギー症状や口腔アレルギー症候群などの「果物過敏症」を併発するケースが多いと言われています。

あるデータによると、ハンノキ花粉症患者さんの40%以上が果物過敏症を合併していると報告されています。
この数年の間に、北海道の釧路湿原ではハンノキ林が拡大しているとか。
周辺の方は、ハンノキ花粉症にも注意しておきましょう。

ヒノキ

ヒノキ
『ヒノキ』といえば、スギ花粉と並んで花粉症の原因となる代表的な植物の一つです。
種類としてはヒノキ科・ヒノキ属の常緑針葉樹ということになり、主に本州の福島以西から九州の屋久島まで分布しています。
現在、日本の国土の約7割を森林が占めていて、その面積はおよそ2500万ヘクタール。

そして、その中でも林業を目的として作られた人工林は、およそ1000万ヘクタールだと言われています。
さらに、その内訳をみてみると、スギが44%、ヒノキは24%となり、この数字だけを見るとヒノキは少ないような気がしてきます。
ですが、スギの植林は現在行われていないのに対し、ヒノキの植林は今も行われ続けているのです。

つまり、今後もヒノキは増え続けますから、必然的に花粉の飛散量も増えてくるということですね。
実際にヒノキ花粉症は年々急速に増加傾向にありますから、もっとも気をつけなければいけない花粉症ということができそうです。
スギとヒノキは花粉の飛散時期が重なっていることもあり、混同されやすいものです。

さらに、ヒノキ花粉症患者の約7割がスギ花粉症患者でもあるというデータもありますから、この2つを合わせて「スギ・ヒノキ花粉症」と呼ばれることもあります。
これは、スギとヒノキの花粉の構造が似ているためなのですが、ヒノキの花粉だけに反応して症状が出る人は少ないと言われています。
ただ、その逆はあるようですので、現在スギ花粉症だけの人でも、やがてヒノキ花粉症を併発する可能性は低くないようです。

ブタクサ

ブタクサ
『ブタクサ』は、秋の花粉症の代表的な原因植物とも言われているもので、キク科・ブタクサ属の1年草です。
北アメリカ原産の帰化植物なのですが、本国のアメリカでは5~15%の人がこのブタクサの花粉症に悩まされていると言われています。

ブタクサは、いわゆる「風媒花(ふうばいか)」、つまり風にのって花粉を飛ばすタイプの植物ですので、花粉症の原因となりやすいものです。
しかも、抗原性がきわめて強いということも大きな特徴で、実は1961年に日本で最初の花粉症として報告されたのが、このブタクサの花粉症なのです。
ブタクサは雌雄同株の背の高い雑草で、日本全国の乾燥した野原や道端、畑の周辺、牧場、荒れ地などに生育しています。

花粉の飛散時期は8~10月頃で、ブタクサによる花粉症はスギ花粉症、イネ花粉症についで多く見られると言われています。
また、ブタクサ花粉症の人は、食物アレルギー症状や口腔アレルギー症候群などを起こす「果物過敏症」を併発することが多く、メロンやスイカ、バナナ、キュウリ、ズッキーニ、カンタローブなどを食べると、口のまわりやのどがかゆくなったり、目が腫れたりすることがありますので注意が必要です。

ただ、最近では土地開発や空き地の激減でブタクサ自体が激減してきたため、花粉の飛散量も減ってきています。
さらに、ブタクサを食い荒らすブタクサハムシという甲虫が増えてきたこともあって、以前よりもブタクサはめっきり数を減らしていますから、ブタクサ花粉症の発症率も下がってきているようです。

ヨモギ

ヨモギ
『ヨモギ』は、日本全国のいたるところに生息しているキク科・ヨモギ属の多年草です。
地域を問わず、また市街地や山野、道ばた、堤防、空き地など様々な場所でたくましく自生しているため、普段の生活圏の中で手軽に見つけ、手に入れることができる山野草の1つと言えます。

ヨモギは『モチグサ』と呼ばれることもあるとおり、昔から草もちやヨモギ餅などとしても親しまれていますね。
それ以外にも、薬草として用いられたり入浴剤や化粧水として使われたりと、日本人にはなじみの深い植物なのですが、残念ながら花粉症の原因植物にもなってしまっているようです。

ヨモギが花を咲かせるのは、夏から秋にかけて。
花自体は目立たないものなのですが、8~10月にかけてヨモギの花粉が飛散します。
夏の終わりから秋にかかる時期ですので、朝晩が冷え込みやすく風邪をひいたと思っていたら、実はヨモギの花粉症だったという人も少なくないようです。
もちろん、風邪をひきやすい時期でもありますから、症状をしっかりと見極めて適切な対処をする必要があるでしょう。

なお、ヨモギ花粉症を発症している場合、「セロリアレルギー」を合併していることも多いと言われています。
また、セロリと同じセリ科の植物である「ニンジン」や、「メロン」、「りんご」、「スイカ」などによる「果物過敏症」を起こすこともあるようです。
果物過敏症になると、いわゆる「食物アレルギー症状」や「口腔アレルギー症候群」を起こすこともあるので注意しておきましょう。

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