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免疫グロブリン製剤の働き・取り方・副作用・代表的な製剤などについて

公開日: : 最終更新日:2016/03/28 免疫


人間の体は血漿成分によってさまざまな脅威から保護されており、それを抗体もしくは免疫グロブリンと呼ばれています。
免疫グロブリン製剤はその名の通り、免疫グロブリンが含まれる薬剤です。
免疫グロブリン製剤が適用される疾患はいろいろで、それに合わせて適切な投与をする必要があります。
免疫グロブリン製剤はいろいろな抗原を幅広くもつ免疫グロブリン製剤、そして特定の病原体に対する抗体をたくさん含む血漿から製造される特殊免疫グロブリン剤に分類できます。

免疫グロブリン製剤はさらにいくつかの種類に分けられ、そのひとつが筋注用免疫グロブリン製剤です。
これは昔から用いられてきた薬剤で、エタノールによって取り出された免疫グロブリンをほぼその状態で使用して製剤化しています。
この薬剤は筋肉注射によって投与しますが、局所の疼痛がみられるため、1度にたくさんの量を投与することはできません。
また、効果があらわれるまでに時間がかかるという欠点もあります。
そのため、現在はそれほど広く用いられず、はしかやA型肝炎などに限定してつかわれます。

静注用免疫グロブリン製剤は現在もっとも広く用いられている免疫グロブリン製剤です。
筋注用製剤による副作用の原因となる凝集体をなくす、凝集体による補体と呼ばれるタンパクの異常活性化を抑えるといった工夫によって、静脈注射ができるようになった製剤です。
静注用製剤は無あるいは低ガンマグロブリン血症、重症感染症に用いることができますが、製剤によっては重症筋無力症(MG)や多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、川崎病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、ギラン・バレー症候群(GBS)、天疱瘡、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)などにも用いることができます。

皮下注用免疫グロブリン製剤は無あるいは低ガンマグロブリン血症に用いられる薬で、静注用免疫グロブリン製剤に加わった新たな投与法として認識されています。
この製剤は皮下を通して少しずつ成分が行き届くため、安定した血中グロブリン値を保つという効果があります。
そのため、急激な血中タンパク濃度上昇によって起こる全身性の副作用が起こるリスクは低く、さらにシリンジポンプなどの注入器具を使用することで患者自身が投与することも可能です。

特殊免疫(高度免疫)グロブリン製剤は、特定の抗体をたくさん含む免疫グロブリン製剤のことを言います。
Rh血液型不適合妊娠による新生児溶血性黄疸の予防を目的とした抗D人免疫グロブリン製剤、破傷風の発症予防や治療を目的とした抗破傷風人免疫グロブリン製剤、B型肝炎発症予防や母子感染の予防を目的とした抗HBs人免疫グロブリン製剤などが使用されます。

免疫グロブリン製剤に限らず、多くの血液製剤に言えることですが、将来的な感染症や血液製剤による副作用などは起こりえます。
日本で血液製剤が製造される際には、献血によって得られた血液を用いてつくられます。
血液が提供されてから実際に医療機関に持ち込まれるまでには、さまざまな安全対策が行われています。
そのため、一定の安全性は保たれていますが、それでも絶対に安心とは言い切れません。

理由はいくつかありますが、主なものとしては血液の提供者が未知の感染症にかかっている可能性があること、ウィンドウ・ピリオドという期間があることが挙げられます。
ウィンドウ・ピリオドというのは、人間がウイルスに感染してから検査によって判明するまでの日数のことを言います。
病原体によってウィンドウ・ピリオドはちがってきますが、この期間に提供された血液は必ずしも検知することはできないため、さまざまな安全テストを通過してしまう恐れがあります。
これを防ぐためには感染の恐れがある人は献血を受けないことが重要となりますが、問診票などから判断しなければいけないため、絶対に確実とは言えないのです。

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