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腸管免疫の働きや仕組み

公開日: : 最終更新日:2016/02/03 免疫


腸管は人間にとってなくてはならない器官で、食物から取り入れられた栄養素やエネルギーを消化・吸収するという働きをもっています。
それだけではなく、重要な免疫機能を備えていることも最近は明らかになっています。

免疫というのは体が備える抵抗力のことをいい、体の内部に入り込んだウイルスや細菌を取り除きます。
免疫は体に害を及ぼすものを識別して、それぞれの特徴に合わせた抗体をつかって排除しようとします。
こういった免疫に関連する器官は扁桃腺やリンパ節、胸腺などがよく知られていますが、もっとも大きな免疫器官だと言われているのが腸管です。

人間の腸管は非常に長いことが知られていますが、そこに抗体を生成する全身のリンパ球の半数以上が集中しています。
鼻や目の粘膜は細菌は入り込んだとしても、抗体を生成するのは腸管です。
免疫力が十分に備わっていない乳児は母乳から抗体を受け取りますが、その抗体も腸管免疫系で生成されたものです。
このように、病気などの危険から体を保護しているのが、腸管免疫系なのです。

なぜ腸管はそういった免疫機能を備えているのでしょうか。
病原細菌の多くは口から入り込むことがほとんどで、食物と一緒に腸管から体内に入り込むことが多いと言われています。
そういったリスクに備えるため、血液細胞は免疫細胞へと変化を遂げて腸管に集まったと言われています。
つまり、人間をはじめとする生物の免疫機能は腸管で生まれたということなのです。

また、普段口にするものと免疫は深く関わっています。
人間と同じ脊椎動物にヤツメウナギやナメクジウオと呼ばれる円口類がありますが、これらの生物は抗体を生成することが不可能です。
円口類は脊椎動物のなかで最下位の生物で、顎や歯をもちません。
顎などをもっていれば大きなものやかたいものを取り込むことができますが、いろいろなものを食べられるからこそのリスクもあります。
さまざまなものを摂取すると、それと一緒に病原細菌が体に入り込む可能性が高まります。
人間には顎があり、さまざまなものを食べることができます。
その結果として免疫機能が発達して、抗体を持つに至ったと考えられるのです。

わたしたちの腸管にはおよそ100兆個、100種類ほどの細菌が存在しています。
O-157やコレラ菌は腸管免疫の働きによって取り除かれますが、これらの細菌は排除されることはありません。
腸内細菌の細胞壁には免疫防御機能を活性化させる菌体成分が確認されています。
これが人間の免疫機能に大切な役割を果たすことがわかっています。

腸内細菌をもたないマウス実験では、抗体がつくられにくく経口免疫寛容も誘導させることはありません。
人間と共生する腸内細菌は腸内免疫系に機能に欠かせないもので、外から入り込んできたものですが、安全性が高く体にとっていいものだと体は認識します。

しかし、腸内には体にいい影響を与えるものもありますが、それだけではありません。
大腸菌やバクテロイデスに代表されるような病原性の細菌も存在します。
それらの有害な菌は免疫機能によって取り除かれずに、長期間存在し続けることもあります。
有害菌であっても腸内での役割を担っているからというのが、その理由です。
最近の研究では、腸内細菌のなかでも数多いバクテロイデスは免疫を活性化する働きがあることが明らかになっています。
バクテロイデスは腸内に入り込んできた病原細菌を取り除く一助になっていると言われています。

腸内には多種多様な細菌が複雑に入り交じって存在しており、その状態が花畑のように見えることから腸内フローラとも呼ばれています。
腸内細菌のバランスやパターンは人によって少しずつちがい、それを決定しているのも免疫系だと言われています。
人によって病気になりやすい、アレルギー反応が起こりやすいといったことは、こういった理由からです。
免疫系は遺伝の影響を受けて個人差があらわれ、こういった免疫系の差異が腸内に存在する細菌を選んでいると考えられます。
人間の免疫の働きが一定ではなく多様性がみられるのは、生物が生き残るためだといわれています。
さまざまな病原細胞が体内に侵入しようとしたときに、いずれかが生き残れるように、腸管免疫系の機能も多様性があると言われています。

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